西洋医学と東洋医学の養生

西洋医学と東洋医学の養生

—— 実はまったく違う2つの意味があります ——

養生(ようじょう)は、英語にすると「ヘルスケア -health care-」と訳されます。
けれど、この2つは同じ言葉なのに、中身はまったく違う考え方です。

この違いを知ると、
「健康のために頑張っているのに、なぜか疲れる」
「正しいはずなのに、しっくりこない」
その理由が、とても分かりやすくなります。

西洋医学の養生=ヘルスケアとは?

私たちが普段イメージする「ヘルスケア」は、基本的に西洋医学の養生です。
その考え方のベースは、古代ギリシャのヒポクラテスにまでさかのぼります。

西洋医学の養生(ヘルスケア)の特徴

とてもシンプルに言うと、病気にならないように、体を正しく管理することです。

たとえば、

  • バランスのよい食事
  • 適度な運動
  • 規則正しい生活
  • 数値(体重・血圧・検査結果)を意識する

✔ 正解がある
✔ 守るべき基準がある
✔ できているかどうかが分かる

とても合理的で、分かりやすい方法です。
ただ、こんな経験はありませんか?

  • 言われた通りやっているのに、楽にならない
  • 正しいことを続けるのが、しんどい
  • できない自分を責めてしまう

それは、あなたの努力が足りないからではありません。

東洋医学の養生=「YO-JO(養生)」とは?

一方、東洋医学の養生は、同じ「養生」という言葉でも、意味がまったく違います。
代表的なのが、江戸時代の貝原益軒の『養生訓』です。

東洋医学の養生(YO-JO)の考え方

東洋の養生は、自然に壊れないように、生き方そのものを整えることを大切にします。

ここには、

  • 正解
  • 数値
  • 目標達成

といった考えは、ほとんど出てきません。

代わりに大切にするのは、

  • 食べすぎていないか
  • 無理をしすぎていないか
  • 心が張りつめていないか
  • 年齢や季節に逆らっていないか

といった、体の小さなサインです。

いちばんの違いは「体の見方」

この2つの養生の違いを、とても簡単にまとめると、こうなります。

西洋医学の養生(ヘルスケア) 東洋医学の養生(YO-JO)
体の見方 管理するもの 調和させるもの
基準 正解・数値 体の感覚
方法 ルールを守る 無理を減らす
目的 病気を防ぐ 壊れない状態を保つ

西洋医学は👉 「悪くならないように抑える」
東洋医学は👉 「悪くならない流れを作る」

この視点の違いが、体への感じ方を大きく変えます。

なぜ「合わない」と感じる人がいるのか

もしあなたが今、

  • ヘルスケアを頑張るほど疲れる
  • 正しい生活がプレッシャーになる
  • 何をしても整わない気がする

と感じているなら、それはやり方が間違っているのではなく、考え方が合っていない可能性があります。

特に、

  • 慢性的な疲れ
  • 回復の遅さ
  • 気分の不安定さ

といった状態では、「管理するヘルスケア」より「ゆるめて整える養生(YO-JO)」のほうが、体に合うことが多いのです。

どちらが正しい、ではありません

大切なのは、ここです。

  • 西洋医学の養生(ヘルスケア)は
    👉 必要なときに、とても心強い
  • 東洋医学の養生(YO-JO)は
    👉 日常を壊さないための土台

役割が違うだけなのです。

  • 守るときは、ヘルスケア
  • 整えるときは、YO-JO

この使い分けができると、健康はずっと楽になります。

おわりに

養生とは本来、自分を追い込むものではありません。

「もっと頑張らなきゃ」ではなく、「これ以上、無理をしなくていい状態を作ること」

ヘルスケアに疲れたときこそ、東洋医学の「養生 YO-JO」という視点を思い出してみてください。

体は、正しく管理されたいのではなく、大切に扱われたがっているのかもしれません。